頁太郎～この本の思い出～
すごく衝撃的な内容でした！特攻兵がなぜ9回も生還できたのか？
徹底的な取材からわかってきた事実。この本に書かれていることは現代日本にも大いに関係があることだと感動しました。ぜひぜひ読んで欲しい作品です。
『死ななくてもいいと思います。死ぬまで何度でも行って、爆弾を命中させます』
戦争実話や特攻隊をテーマにしたノンフィクションをいくつも読んできた私ですが、『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』（鴻上尚史／講談社／2017年）ほど胸を揺さぶられた作品はありませんでした。
「九回出撃し、九回生還した特攻兵」という一文に、私は心を掴まれました。
特攻――それは死を前提にした命令。しかし主人公・佐々木友次は、その命令に背き、生きて帰還し続けた。上官の怒りを買い、“臆病者”と呼ばれながらも、彼は再び空へ向かいます。
彼の生き様は「なぜ死なねばならないのか」という問いを突きつけます。読み進めるうち、私は「真の勇気とは何か」という根源的なテーマに導かれていきました。
[よくある質問（FAQ）]
Q1. 『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』はどんな本ですか？
A1. 本書は、鴻上尚史氏によるノンフィクションで、特攻隊員・佐々木友次の実話を描いた戦争実話です。9度の特攻出撃を生き延びた彼が、命令に背いてでも「生きる勇気」を貫いた理由を丹念に追っています。戦争を知らない世代にも響く、理性と信念の物語です。
Q2. 不死身の特攻兵の実話は本当ですか？
A2. 佐々木友次の九度生還という驚くべき実話は、鴻上尚史氏が多くの戦友・家族・上官への取材を通じて明らかにしています。鹿屋基地などの実在地や公文書をもとにした記録で、史実に基づいた信頼性の高い軍事ノンフィクションです。
Q3. 『不死身の特攻兵』からどんな学びが得られますか？
A3. 本書が伝えるのは、「勇気」とは死ぬ覚悟ではなく、生き抜く意志だということです。戦争という極限の中で理性を貫いた特攻兵の姿は、現代を生きる私たちにも“空気より信念を選ぶ勇気”の大切さを教えてくれます。
「生き抜く勇気」はなぜ難しいのか
高校教員だった頃、クラスの中で孤立しても信念を曲げなかった生徒がいました。彼の強さと孤独を思い出させたのが、佐々木友次の生き様です。
上官の命令に従えば死、逆らえば処罰。それでも彼は、「死ぬために飛ぶのではなく、生きるために飛ぶ」と決めていた。
「国のために死ぬことは簡単だ。だが、生きて問い続けることの方が難しい」
この言葉が胸に刺さりました。 社会の“空気”に従うことで安心を得ようとしていた自分が、彼の姿を通じて問われた気がしたのです。真の勇気とは、他人に合わせることではなく、理性と信念を裏切らないこと。そう痛感しました。
『不死身の特攻兵』のあらすじは？｜戦争実話が描く“反骨の軍人像”
本書は、特攻隊員・佐々木友次の生涯を描いた軍事ドキュメンタリーです。著者の鴻上尚史（こうかみしょうじ）氏は、劇作家・演出家として知られていますが、ここでは一人の人間の物語として特攻を描いています。
舞台は太平洋戦争末期、鹿屋基地。仲間が次々に散る中、佐々木は燃料を使い果たす前に帰還し、九度の出撃を生き延びます。
彼の異端ぶりに対し、上官たちは激怒しますが、佐々木は沈黙のまま反抗します。鴻上氏は、戦友や家族、上官たちの証言を丹念に取材。戦争の中で“命令”と“良心”がどう衝突するかを浮き彫りにしています。
特攻機「九九式襲撃機」の描写や、鹿児島・知覧基地との対比もリアル。戦後、彼が「生き残った罪」を抱えながら生き抜いた姿は、読む者の心を締めつけます。
「死ぬことが勇気ではない」その言葉の重み
最も心を揺さぶられたのは、九度目の出撃の場面です。
「死ぬことが勇気ではない。命を守ることもまた勇気だ」
この一言に、彼の生き方のすべてが詰まっていました。仲間が散っていく中で、彼はあえて引き返すという決断を下します。 上官との対立も描かれます。「私は死ぬために飛ぶのではありません」と言い切る佐々木。その言葉は反抗ではなく、理性の声でした。 鴻上氏の筆致は演劇的な情感を抑えつつも、人間の内面を深く描きます。油と汗の匂いが漂う整備場面、鹿屋の風景、仲間の視線――すべてが静かな現実感を持って迫ってくるのです。
著者・鴻上尚史の視点｜なぜ「理性」がテーマなのか？
鴻上尚史氏は、舞台作家として長年「個人と社会」「理性と感情」のテーマを描いてきました。本書でもそれは貫かれています。
「彼は命令に従わなかったのではない。理性に従ったのだ」
この一文が、本書の核心です。 現代社会でも私たちは、空気や多数派の意見に従うことで安心を得ようとします。だが本当に必要なのは、「なぜそうするのか」を考える理性です。 『不死身の特攻兵』は特攻隊の歴史を超え、「人が自由に生きるとはどういうことか」を問いかけてきます。 関連作品としては、百田尚樹『永遠の0』がありますが、本書は“死”ではなく“生”を描いた真逆のノンフィクション。命を選ぶ勇気をテーマにしている点で、対をなす存在です。
まとめ｜「生きる勇気」を現代にどう活かすか
『不死身の特攻兵』は、戦争という過酷な時代にあっても理性を捨てなかった一人の男の物語です。
命を捧げることが美徳だった時代に、「生きる」ことを選んだ佐々木友次。その姿は、今を生きる私たちに「あなたは何のために生きるのか？」と問いかけてきます。
このノンフィクションは、戦争実話という枠を超え、人生の選択そのものを考えさせてくれます。
生きることに迷ったとき、あなたもこの本を手に取ってみてください。理性と信念を取り戻すきっかけになるはずです。
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