頁太郎~この本の思い出~
物語形式で進んでいくため、非常に読みやすいです。中学生の主人公が謎の大富豪である”ボス”と出会い、お金についていろいろ教えてもらうという展開です。「客はお金を払ってるんだから何してもいい」という考え方のおかしい部分に気づきました。
「お金を考えると、なぜか息苦しい」。そう感じていた私が『きみのお金は誰のため』(著:田内学/東洋経済新報社/2023年)を手に取ったのは、ビジネス書グランプリ2024で総合グランプリを受賞したというニュースを見たときでした。
著者の田内学さんは、元銀行員であり、金融教育家としても知られています。そんな彼が“お金の哲学”を人間の信頼や社会とのつながりから解き明かしていく――それだけで興味をそそられました。
読んでみると、冷たく感じていた「お金」という存在が、誰かを支える“あたたかな循環”に変わって見えたのです。経済や投資教育に関心のある人だけでなく、「生き方」を問い直したいすべての人に響くビジネス書だと感じました。
[よくある質問(FAQ)]
Q1. 『きみのお金は誰のため』はどんな内容のビジネス書ですか?
A1. 田内学さんの『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)は、ビジネス書グランプリ2024総合グランプリ受賞作。お金の本質や信頼、社会とのつながりをテーマに、マネーリテラシーを超えた“生き方”を問いかける一冊です。
Q2. 『きみのお金は誰のため』からどんな学びが得られますか?
A2. 「お金とは信頼のかたち」という著者のメッセージから、経済や消費行動の裏にある人との関係性を学べます。お金を「誰かを支える道具」として捉える視点が、社会課題や生き方の再考につながります。
Q3. 『きみのお金は誰のため』はどんな人におすすめですか?
A3. 経済や金融教育に興味のある方、ビジネスパーソン、そして人生の価値観を見つめ直したい人におすすめ。数字ではなく“人の心”を軸にしたビジネス書を求める方にぴったりの作品です。
この本がくれた気づき:「お金=信頼のかたち」という発見
教師をしていた頃の私は、「努力すれば報われる」と信じていました。けれど、独立して物販ビジネスを始めると、現実はそれほど単純ではなく、“お金の流れ”が人の幸福や信頼に影響していることを痛感しました。
そんなとき出会ったのが、田内学さんのこの言葉です。
「お金は、誰かが誰かにありがとうを伝えるための仕組みなんです。」
胸を撃たれました。
私は“利益”ばかり追って、“ありがとう”を忘れていたのかもしれません。
読後、私は自分の仕事を“売ること”ではなく、“支えること”だと再定義しました。
この本が教えてくれたのは、経済やマネーリテラシーの知識よりも、「お金の使い方が生き方をつくる」という真実でした。
社会課題に対して無力感を覚える時代にあっても、「お金を通じて誰かを助ける」という実感は、日々の行動を変えていく力になります。
『きみのお金は誰のため』のあらすじと要約
『きみのお金は誰のため』は、経済を「信頼の物語」として語る異色のビジネス書です。田内学さん(元三菱UFJ銀行員)は、数字ではなく“人の心”から経済を見つめ直す視点を提示します。
本書は5章構成で、「給料」「税金」「投資」「消費」「社会の循環」という身近なテーマを通じて、経済の仕組みを人間関係の延長として描いています。
特に印象的なのが冒頭の“パン屋のエピソード”。
「あなたが買うパンの代金は、パン職人の生活だけでなく、その人が愛する誰かを支える力にもなる」
この言葉が象徴するように、本書は“お金=人とのつながり”という視点で全体が貫かれています。
また、投資教育や金融教育の重要性にも踏み込んでいます。「お金を通して社会を理解する力」こそが、これからの教養だと説く姿勢は、教育関係者としても共感せずにいられませんでした。
学生や新社会人はもちろん、ビジネスリーダー層にも読んでほしい。なぜならこれは、単なる経済書ではなく、“人とお金の関係”を問う哲学書だからです。
印象的なエピソード:「お金の倫理」を問う田内学のまなざし
最も印象に残るのは、田内学さんが銀行員時代に経験した“融資断念”の場面です。
「数字だけを見れば融資はできた。でも、そこに働く人たちの顔を思い浮かべたとき、私は首を縦に振れなかった。」
お金と倫理の狭間で揺れる彼の誠実さに、私は深く共感しました。
「お金は道具であって、目的ではない」――この主張が本書の根幹です。現代社会では“お金を稼ぐ”こと自体が目的化している場面が多いですが、田内さんはその危うさを静かに指摘します。
さらに本書では、「消費とは他者への参加」という逆転の発想も登場します。
買い物とは単なる経済行為ではなく、誰かの夢を支える行為。
この視点を得てから、私は自分の支出の一つひとつを“投票”のように考えるようになりました。
それは、社会とつながる実感を取り戻す小さな哲学でもあります。
田内学が伝えたかったこと:お金は“人を信じる力”
田内学さんが繰り返し伝えるのは、「お金を信じることは、人を信じること」という考え方です。
「誰かの幸せのために使われるお金こそ、最も美しいお金だ。」
この言葉を読んだ瞬間、“経済”が“感情”とつながりました。 彼のもう一つの著作『お金のむこうに人がいる』や『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか』でも、同様のテーマが語られています。
読後、私は財布を開くたびに小さく問いかけます――
「このお金は、誰のために使うのか?」
その問いがあるだけで、日常のすべてが優しく、意味を帯びていくのです。
社会の中で生きる自分を見つめ直すための“経済の教科書”として、この一冊は確かな価値を放っています。
まとめと次の一歩
『きみのお金は誰のため』は、経済・ビジネス書の枠を超えた“人間ドラマ”です。
読む前と後で、あなたのマネーリテラシーは確実に変わるでしょう。
仕事、買い物、寄付――あらゆるお金の行動が「誰のために」という視点で変わっていく。
読後、あなたの中に生まれるのは、“お金に使われる人”ではなく、“お金を通じて人を支える人”という新しい生き方です。
あなたが今日使うお金は、誰の幸せを生むだろう。
――その答えを探す旅は、この一冊から始まります。


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