嫌われる勇気
『嫌われる勇気』という本は面白い
数年前に発売されてベストセラーとなった名著『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』。とても面白い内容でした。みなさん読まれましたか?僕は3回も読みました。
この本はアドラー心理学に関する本であり直接教育とは関係がありませんが、そのタイトルの「嫌われる勇気」という言葉は私たち教師にとっても大切なことであると思い、ここで紹介させてもらいました。
もしまだお読みでない方は、ぜひお時間を見つけて読んでみてください!
嫌われたくない気持ちは態度に出る
生徒には嫌われたくないと思っている教師の人は多いでしょう。
私も高校教師をしていた頃は、嫌われたくないし、できれば好かれたいと思っていました。
しかし、嫌われたくないという思いが強くなって生徒に迎合するようになると、そういう態度は周りにすぐにわかりますので、生徒から見てもカッコ悪いものに映ります。
自分では何食わぬ顔をして平静を装っていても、心の中で「嫌われたくない」と思っている人間の表情というのは、どことなくそれを匂わせる色を表してしまうものです。
ましてや教師の場合、こちらは一人で教壇に立っていても生徒たちは一斉にこちらに注目しています。
こちらには無関心であるかのような態度をとっている生徒でさえも、教師の一挙手一投足に注目しています。
また、本当に教師のことには無関心な生徒でも、教師の不自然な態度には敏感に気がつくものです。
教師が「嫌われたくない」という思いに動かされているとき、つまり教師が自分を守ろうとしているとき、彼ら彼女らはそのことにいち早く気づきます。
自分を守る人間はダサく見える
生徒たちは教師の自主防衛に気づくと同時に、その教師のことを「弱い人間」であるとみなします。
あなたも学生のときはそうではありませんでしたか?意図しなくても教師を格付け(ランク付け)していませんでしたか?
生徒はすぐに教師をランク付けします。ほぼ自動的にそれは行われます。
嫌われたくない、生徒に注目されたい……そんなことを思っている教師ほど、結果的には下位にランクされ、敬われることはありません。
生徒だけにとどまらず、私たち人間も野生動物と同じで強いリーダーを望む傾向があります。ボスに守られて身の安全を確保している猿山のサルたちと似ています。
どんな社会でも、力を悪用しない限りは強いことは正しいことでありますから、生徒たちも周りの大人をランク付けし、誰が一番強いのか、誰が自分を守ってくれる存在なのかを確認します。
強い教師とは?
生徒から見て強い教師とはどのような存在でしょうか?
強いと言っても、べつに体がいかついとかマッチョであるとかいうことではありません。
それは、自分の生き方に自信を持っていて、しかし柔軟であり、権力になびかず、自分の弱さも見せることができるような人ではないでしょうか。
常に余裕があり、何が起こっても「まあ、なんとかなる」と考えられるような人です。
そういう人は自分を守ることに必死になったりはしません。
自分を守ることに必死にならない、つまり力があるといことです。自分を守ることに必死にならなくてもいい人は、他人を助ける余裕を持っています。
そういう態度で生徒と関わることができる教師は、自然に人気が出て頼られるようになるでしょう。
裏切るか裏切らないのかを決めるのは、あなたではありません。それは他者の課題です。あなたはただ「わたしがどうするか」だけを考えればいいのです。
『嫌われる勇気』より
少しずつ変えていこう
「嫌われたくない」という気持ちは、すぐに消すことはできませんし、無理やり忘れようとしても意味がありません。
自分が生徒に嫌われたくないと感じていることを素直に認めて、少しずつ考え方を変えていってください。
生徒全員から嫌われたところで死ぬわけではありません。
本当に生徒全員から嫌われてしまったら、教師としては最低の状況となるかもしれませんが、自分が底辺にいるからこそできることもありますし、そこから自分を変化させていったときの周りの状況の変化を楽しむこともできます。
嫌われることを恐れてびくびくして過ごすより、「嫌われてもいいや!」と思って自分らしく生きる方が楽しいですよ。
人生は一回きりですから、自分を誤魔化し、他人の顔色をうかがいながら生きる時間はできるだけ減らしていきましょう。
少しずつでいいのです。少しでも自分の日常に変化を加えていくことで、人生はおもしろくなっていくことと思います。
人生とは、連続する刹那なのです。われわれは「いま、ここ」にしか生きることができない。われわれの生とは、刹那のなかにしか存在しないのです。それを知らないおとなたちは、若者に「線」の人生を押しつけようとします。いい大学、大きな企業、安定した家庭、そんなレールに乗ることが幸福な人生なのだと。でも、人生に線などありえません。
『嫌われる勇気』より

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