教師と生徒間のパワハラについて~逆転現象が見られるパワーバランス

教師と生徒間のパワハラを考える

パワハラとは?

パワーハラスメント

社会的な地位の強い者(政治家、会社社長・役員、大学教授など)が、自らの権力(パワー)や立場を利用して行う嫌がらせのこと

(ウィキペディアより)

近年、日本国内でもパワハラ被害がニュースとして取り上げられることも増えてきました。

この記事では、教師と生徒間のパワハラ問題について考察します。

パワハラというと職場内の上司と部下の関係性の中で見られる行為という印象が強いですが、学校内の教師と生徒間においてもそれは十分起りうることです。

教師と生徒間のパワハラと言うと、たいていは教師による生徒へのパワハラを思い浮かべられることと思います。

教師という強者による、生徒という弱者へのハラスメントです。

これが一般的に語られる教師と生徒のパワハラですが、別の視点から見たときに、その逆パターンもありうるということがわかります。

つまり、教師による生徒へのパワハラです。

この記事ではそのあたりにも焦点を当てていきます。

たとえばブラック部活問題

教師による生徒へのパワハラが起こりやすい場として、部活動があげられます。最近では、「ブラック部活動問題」として取り上げられることも増えてきました。

ブラック部活動問題

通常でも勤務時間が長い小中学校教員が部活動の顧問を担当し、平日の放課後だけでなく、土日も出勤して部活動の指導や引率に当たるなどする過酷な勤務状況を表した言葉である。部活動は国語や社会などの教科と異なり、教育課程には位置付けられていない。また、この言葉は児童生徒の活動時間が過重な上、しごきや人格を否定するような言葉を投げかけられるなど、顧問の教員や指導者から児童生徒へ行われるハラスメントを指す場合もある

(コトバンクより)

引用内の太字の部分ですね。

指導と称して行われるしごきや人格否定の暴言・暴力を、私も何度も目にしたことがあります。

授業やクラス活動などの通常の教育課程内においてよりも、課外活動である部活動においての方が教師の自由度も上がる分だけ、パワハラの被害も多く起っていると思われます。

通常の授業と違い、基本的には自主的に入部してきた生徒ですので、厳しく指導してもよいという認識が教師の側にあることが原因の一つだと思います。

中学校においては、部活動に強制入部させているところがあるようです。

もちろん、どの部に入るのかは生徒の自由選択であるとしても、部活動自体に入りたくないと思っている生徒も強制的に入部させていること自体が、一種のパワハラだと言われても仕方がないように思います。

パワーをもった教師

教師は、生徒にとっては明らかに自分よりもパワーをもっている存在です。大人である、年上である、人生経験がある、学校内の支配階級である……

そんな相手から不当な扱いを受けたとしても、なかなか面と向かって意見することは難しいと思います。

私も教師をしていた頃は、とくに部活動の指導においてなど、生徒へのパワハラをしないように気をつけていました。

こちらが意図していなくても受け手にとって苦痛となるようなことをしてしまうおそれもあるからです。

幸いにも体罰も暴言もなく、生徒とはいい関係を築いてきたつもりですが、こちらが気づいていないパワハラがあったかもしれません。

先日聞いたのですが、出張等の移動中に男性上司が女性の部下を新幹線の横の座席に座らせるという行為が、ほぼパワハラであるらしいです。

この例のように、自覚がなくてもやってしまう可能性があるパワハラ。注意したいものです。

生徒がもつパワー

さて、ここからは生徒がもつパワーについて考えていきます。

ここでは生徒がもつパワーを、「攻撃的なタイプ」と「じわじわくるタイプ」の大きく二つに分けて考察します。

攻撃的なタイプ

たいていの場合、立場的には教師の方が生徒よりも上に位置していると考えていいと思いますが、教師と生徒の間で「生徒はお客様」という認識が共有されていくと立場が逆転することがあります。

モンスターペアレントがその例です。

これは生徒本人ではなくその保護者が理不尽なクレーマーとなることですが、生徒は保護者の味方であることがほとんどであるため、生徒がパワーをもっているのと同じようなことになります。

また、保護者が出てこなくても、生徒自らがモンスタースチューデントとなることがあります。

そういう生徒は教師の弱い部分をよく知っていて、教師の足元を見てきます。

理不尽な要求をしたリ、教師を困らせる言動をしたり、暴言や暴力で教師を攻撃したりします。

昨年メディアをにぎわせた福岡県博多高校の教師暴行動画事件というのがありましたが、これなどはその極端な例でしょう。

じわじわくるタイプ

直接あるいは間接的に教師を攻撃するものではないけれど、じわじわと教師を苦しめる厄介なパターンを紹介します。

こちらも「生徒はお客様」というのがその源となります。

教師はサービス業、生徒はお客様、生徒のために働くのが教師の使命・・・

教師は、このような思いが強くなるとサービス過剰になり、自分の時間やその他を犠牲にしてでも生徒のために尽力するようになりがちです。

教師のサービス過剰による弊害についてはこちらにまとめました↓↓

生徒の自主性を奪うようなサービス過剰は生徒の成長を妨げてしまう

自分のプライベートな時間を生徒のために使ってもいいと考える人は別として、自分のプライベートな時間はしっかり確保したい人は、自分で明確に線引きしておく必要があります。

具体的に言いますと、生徒との電話やメール、LINEやSNS等でのつながり方の問題です。

私物のスマホを使うこと

私は公立高校の教師でしたが、教師は生徒との連絡を取るために私物のスマホ等を用いており、そのことは学校に届け出る仕組みにはなっていました。

スマホ等に生徒の連絡先を登録しないように言われていましたが、連絡をするときにいちいち名簿を見て調べるのも面倒ですので、こっそりと連絡先を登録している教師もそこそこいました。

あなたの学校ではどうでしょうか?

また、あなた自身はどうされていますか?

数日前に、高校の教師をしている友人と食事をしていたとき、彼女は私物のスマホを用いて生徒とLINEで連絡を取り合っていました。

相手の生徒は彼女が顧問をしている部活動の生徒で、内容は部活についての連絡と簡単な相談ということでした。毎日のように生徒から連絡があるとも話していました。

生徒を放っておけなくなる

前置きが長くなりました。パワハラの話につなげます。

LINE等でやり取りする関係になれば、平日の夜や休みの日にも生徒からの連絡が入ることがあります。

これが同僚からの仕事の連絡であれば、いまはオフなので、ということで対応することもできるのですが、相手が生徒となるとなかなかそうはいかないのが実情です。

あなたはそんなことはありませんか?

生徒からのLINEを無視するのは教師としてはなんとなく難しいことですよね。

もちろん、いくら休日であっても、また誰からの連絡であっても、その緊急性が高ければそれの応対するのは当然のことです。

しかし、緊急性が高くないもの、そもそも仕事とは無関係のもの、プライバシーに踏み込んでくるような内容のもの等については、本来なら相手にしたくないものです。

ところが、その相手が生徒であるというだけで「放っておけない」という状態になってしまいます

これが私の考える生徒による「じわじわくる」パワーの行使の内容です。生徒に悪気はありませんので、これをパワハラと呼ぶのはちょっと行き過ぎかもしれません。

しかし逆に言うと、悪気がないことがわかるからこそ放っておけないのです。

その弊害

弊害(1)依存

ただ実際は、休日に生徒からの連絡に答えることについては、とくに嫌だと思わないという教師の人も多いと思います。私もそうでした。

生徒指導にはタイミングがあるし、すべてが勤務時間内に終わることなどありえないのだから、これも教師の仕事だと考えていました。

しかし、時間外も含めて生徒からの相談を何度も受け付けるようになると、生徒に悪気はなくても生徒の要求の度合いは大きくなっていくものですし、生徒が教師に依存するようになります。

依存は成長を阻害します。そして下手をすると、教師と生徒の共依存関係を形成していくことにもなりかねませんので注意が必要です。

電話やメールに比べてもLINEだと手軽にメッセージが送れますので、単なる連絡事項だけであってもそれだけでは終わらずに、さらに二、三の言葉を交わすこともあります。

そうなると必要以上に生徒の内面に踏み込んだり、悩みを聞いたりすることにつながりかねません。結局は依存関係が形成されやすくなるのです。

(関連記事)↓↓

生徒と教師の共依存。頼られることの甘美さからの脱却を!

弊害(2)親密度の差ができる

また、一部の生徒と時間外にLINE等でやり取りをするようになると、学校で全体の生徒と向き合うときに指導が難しくなることも考えられます。

フラットな精神状態で生徒と向き合うのが難しくなったりします。

弊害(3)波長の合わない生徒との付き合い

最後に、自分と波長が合う生徒と合わない生徒がいるということです。

なんとなく波長が合う生徒が相手であるならば、時間外にLINEでやり取りをしていてもストレスも感じませんし、楽しいかもしれません。

しかし、波長が合わない生徒が相手であると、うまく意思疎通ができなかったり、LINEの内容に面倒くささを感じたりすることがありえます。

一度そう感じてしまうと、その生徒からLINEが来るだけでストレスがたまるようになってしまうこともありえるでしょう。

解決策

もしあなたが、生徒とLINE等で個人的にやり取りをすることになんのストレスも不安も感じていないのなら、何も解決することはありません。

ただ、もしそうだとしても、深入りしすぎて身動きが取れなくならないように注意だけはしてください。

いろんな生徒がいるということを頭において、まだLINE等でつながっていない生徒とも今後つながる可能性もあることを考えておいてください。

さて、生徒とLINE等でやり取りをして、ほんの少しでもストレスを感じた経験があるなら、少し考えていきましょう。

学校として再確認

一番いいのはやり取りすることをやめることです。

すでに相当数の生徒とLINE等でのやり取りがある場合、やめるのは現実的には簡単ではないかもしれませんが、他の教師に相談するか、学校として対策に動くかしてください。

学校として教師と生徒のLINE禁止ということを改めて確認するのがいいでしょう。会議でこのテーマを持ち出して話し合いましょう。

「すでに学校としては私物のスマホ等に生徒の連絡先を登録することは禁じているが、どうやらそれを守っていない教員がいるようだ。また、現状では生徒とLINE等でやり取りをしている教員もいる。このことは様々な問題をはらんでいるからすぐにやめるべきだ。今ここで誰がそれをしているのかを追及するつもりはないが、学校としては強い決意でこの問題に取り組みたい」

そして、生徒全員の前で宣言します。

「教師と生徒がLINE等で個人的に連絡を取ることには問題が多いことが保護者等からも指摘され、学校としても見直すことになりました。これからは、緊急の用事があるときはまずは学校に電話してください。深夜や休日で学校につながらないときは教頭先生が対応しますので、こちらの番号に電話してください。」

学校として動けない場合

学校として動けない場合は、あなた個人で生徒に話をするといいでしょう。

①今後は生徒とLINE等でやり取りしたくない場合は、

「今まで緊急の用事があるときは僕のLINEに連絡をしてきてもいいことにしていたけれど、ある保護者の人から連絡があって、教師と生徒がLINE等で個人的に連絡を取ることで全国的にはいろんな問題が起こっているし、それはやめてもらいたいと言われたんだ。そこで、僕自身もそのことを見直すことにしようと思うんだ。これからは、緊急の用事があるときはまずは学校に電話してほしい。つながらないときは僕のスマホに電話をしてほしい。僕にもつながらない場合だけ、今までみたいにLINEして」

もちろん、保護者から連絡があったというのはウソですけど、このように宣言することで生徒を説得しやすくなります。

②生徒とLINE等で連絡を取ることはまあいいとしても、際限のないLINEのつながりを防ぎたい場合は、

「今まで緊急の用事があるときは僕のLINEに連絡をしてきてもいいことにしていたけれど、ある保護者の人から連絡があって、教師と生徒がLINE等で個人的に連絡を取ることで全国的にはいろんな問題が起こっているし、それはやめてもらいたいと言われたんだ。学校からもキツく言われたから、僕自身もそのことを見直すことにしようと思うんだ。これからも緊急の用事があるときは僕に電話かLINEで連絡してほしいんだけど、それ以外の話はLINEではしないようにするよ。いろいろチェックが厳しいからね・・・」

学校からもキツく言われていると生徒に伝えることで、「自分は君たちのLINEにつき合うのは全然平気なんだけど、チェックが厳しいからやめとくよ」というニュアンスになります。

③生徒とは自然体でLINEでつながっていきたい、がしかし、できれば際限のなりLINEのやり取りは防ぎたい場合は、

「教師と生徒がLINE等で個人的に連絡を取ることで全国的にはいろんな問題が起こっているし、それはやめるように学校からキツく言われたんだよ。でも僕自身は、別に君たちとLINEでやり取りすることに抵抗はないし、LINEの方が電話とかよりも便利だしね。だから今まで通り、なんか用事があったら気軽にLINEしてきてね。ただ僕も忙しいから、しょうもない話だったら既読スルーとか普通にするしね、そこはよろしく笑」

冗談っぽく「既読スルーもありだぞ」と伝えることで、今後は、適当にLINEの応酬を打ち切ることへのハードルが下がります。ただ、実際に既読スルーはしない方が賢明でしょう。

まとめ

「生徒からのLINEは無視できない」ことによる教師の負担について考えてみました。

「実際に生徒とLINEでやり取りしてるけど、ほとんどストレスなんて感じない」という人も多いでしょう。

しかし、自分の苦手な生徒からLINEが来る可能性も考えておいてください。こちらが生徒を選べない以上、今は大丈夫でも真剣に考えておいて方がいいと思います。

また、苦手ではない生徒が相手でも、次第に相手の要求や話の重さが増大していく可能性は大いにありますので注意が必要です。

すでに何らかのストレスや不安を抱えている人は、生徒全体に今後の方針を提示することで、個人としてのLINEのやり取りをやりやすくすることができます。

自分なりに上手な言い方を考えて実践してください。

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