ボトムアップ理論!安芸南高校サッカー部の畑喜美夫先生に学ぶ

ボトムアップ理論が救い!

ブラック部活問題

私は元高校教師で、運動部顧問を20年以上やってきました。現在は学校の外から学校教育を眺めてみて、いろいろな病的だと思えるようなところに気づくことができました。

そのひとつにいわゆる「ブラック部活動問題」があります。

つい先日、私は部活動顧問をやりたくない教師の人たちや、いわゆる部活未亡人と呼ばれる人たちに向けてのメッセージを書いてきました。

ブラック部活問題!顧問をするのが嫌で嫌でたまらない教師の方へ!

【部活未亡人】配偶者を部活動に奪われたあなたにできること

この記事では逆に、部活動指導をやる人に向けたメッセージを書いていきます。

熱心な部活動指導を推奨するような内容の記事だと思われるかもしれませんが、ボトムアップ理論は確実にブラック部活とは逆の発想だと思っています。

ボトムアップ理論とは?

ボトムアップという言葉は、トップダウンという言葉の対語として広く世の中で使われています。

コトバンクには『下からの意見を吸い上げて全体をまとめていく管理方式』と掲載されています。

部活動におけるボトムアップ理論とは、広島県立安芸南高等学校サッカー部顧問の畑喜美夫先生が生み出された指導方法のことを指すことがほとんどだと思います。

私は過去2回安芸南高校を訪れ、練習を見学させてもらいながら畑先生のお話を伺ったことがあります。

そして実際に、私が顧問をしていた部活動でもボトムアップ方式に変更しました。その時は、約3ヶ月間やり続けて、今までできなかった県ベスト8入りを達成することができました。

僕が畑先生にお会いする前に知っていたボトムアップ理論に関する情報は次のようなものです。

●練習メニュー、公式戦のメンバー、メンバー交代、ハーフタイムの指示など、すべて生徒たちが行う。

●練習中も生徒たちだけでのミーティングが重要な要素となっている。

●靴やカバンをきれいにそろえることを徹底している。それは、先生の指示ではなく生徒たちが自分たちで考えてやっている。

●前任校ではインターハイ初出場で全国優勝を成し遂げた。

では実際に練習を見学してのレポートをします!

練習を見学させてもらった

〔部室〕

うわさ通り、部室の中はきれいに整頓されていました。

畑先生も、「僕はとくに指示は出していないけれど、生徒たちが毎日工夫を凝らしてキレイにしてるんですよ。面白ですよ。」とおっしゃっていました。

〔練習前〕
選手二名が、教官室の畑先生の所に大きな作戦盤をもって来て、その日のメニューの説明をします。

何を何分間やるのか、ゲームのメンバーは誰か、誰と誰を途中で交代させるかとその理由、などを簡単に説明します。

畑先生は二、三質問をして、選手がそれに答えると「オッケー、わかった。じゃあ、それでいこう」とおっしゃいました。

今日一日の練習を構築していく力を生徒たちにつけさせることが重要で、それは練習の中身よりも大事かもしれませんね、と教えてもらいました。

〔練習〕
グランドには石灰で引かれたラインが真っ直ぐに伸びていました。ライン係が引いたものだそうですが、驚くほど真っ直ぐできれいでした。

部員の数だけ役割があり、部員たちが必要な役割を決め、担当者を決めているそうです。

ゲーム形式の練習が終わると、すぐにチーム毎にミーティングが始まりました。ファシリテーターという司会役が仕切り、みんなの意見を引き出していきます。

その後、相手チームとの合同ミーティング、さらにその後チーム毎に次のゲームでの改善ポイントの確認をして、もう一度ゲームをします。

約三十分間のミーティング中、畑先生はほとんど口を挟まれません。

「個人名を出して言いにくいこともしっかり伝えよう、改善ポイントが多すぎると絞りにくいよ」とアドバイスをされたくらいでした。

畑先生のミッションとは?

以下は、そのときに畑先生に直接伺った内容です。畑先生の考え方を詳しく知りたい方は、書籍がいくつか出ていますのでそちらをご覧ください。この記事の下のほうで紹介しています。

畑先生は、ミッションは生徒の人間力(道徳力)の向上です、とおっしゃいます。

指導者がやり方や答えをすべて与えてしまっては、生徒は考えなくなります。言われたとおりにやって上手くいっても、それは自分の力にはなりにくいでしょう。

自分で考えて、行動して、その結果を体験する。たとえそれが失敗であったとしても、その経験は力になります。

そして、失敗をもとに修正を加えていけば、徐々に精度が上がっていきます

畑先生は、将来生徒たちが卒業して社会人となった時にも役立つ力として、自分の頭で考える力を身につけさせてやりたいんです、とおっしゃっていました。

現代の学校教育では、教師たちが子どもが失敗するチャンスを奪ってしまっている場面が多々見られます。

また、失敗=良くないことという意識を植え付けてしまう場面も見られます。

生徒の失敗を叱責すれば生徒は縮こまってしまって挑戦しなくなってしまいます。部活指導でも怒鳴り散らしている顧問に教えられた生徒はそのようになってしまうことが多いでしょう。

ボトムアップ理論とは、単に生徒にすべて任せるということではありません。

畑先生に間近に接することで気づいたこと。それは、畑先生の生徒を愛する気持ち、生徒の成長を願う気持ち、絶対的な生徒への信頼

それらがあってこそのボトムアップ理論だということです。

実際に見学して感じたのは、生徒たちの畑先生を愛する気持ちです。よく学校で見かけるような強制された挨拶といったものはまったくありませんでした

生徒たちは自然と気持ちのいい挨拶を私にしてくれました。そして一番感心したのは、生徒たちが畑先生のことをものすごく慕っていることです。

私がトイレで畑先生と並んでおしっこをしている時に、たまたま入ってきて畑先生の隣に並んだ生徒は、畑先生に何か話しかけられてめちゃめちゃ嬉しそうにしていました。

ボトムアップとブラック部活問題

ボトムアップ理論での部活指導においては、顧問が生徒をしごいたり暴言を吐いたりと言うことはあり得ません。

また、熱心に部活動指導をやっている教師にありがちなのは、「俺がいなくては練習がうまく回らない」という思い込みです。

畑先生にはまったくありません。生徒たちが自分たちで練習を回しています。安芸南高校サッカー部では、公式戦であっても畑先生不在ということもあり得るのです。

「俺がいなくては練習が回らない」というのは、「俺がいなくては生徒たちはしっかりやらない」といういことであり、その顧問が生徒を信頼していないということであるのです。

ボトムアップにこの考えはあり得ません。

生徒を信頼するから誰も現場に行かなくてもいいとうことではなく、現場で生徒たちを見守ることが大事です。自分が都合が悪いときは副顧問に行ってもらえばいいのです。

つまりまとめると、

ボトムアップで部活動を運営するならば、教師による生徒へのパワハラもなくなるし、教師の勤務時間も減らすことが可能であるということです。

どうせ部活動指導をやるのなら、是非このボトムアップ理論も参考にしてみてほしいと思っています。

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