頁太郎~この本の思い出~
とにかく何でもいい、怖い物語が読みたい!という衝動に駆られて手にした本。めっちゃ怖いです。不気味です。この本を出発点として、澤村伊智さんの作品をいくつか読みました。
この記事では、ホラー小説『ぼぎわんが、来る』(澤村伊智/角川ホラー文庫/2015)の魅力を、ネタバレなしで丁寧に紹介します。
最終選考委員のみならず、予備選考委員もふくむすべての選考員が賞賛した第22回日本ホラー小説大賞〈大賞〉受賞作です。
読書歴の長い私ですが、この本を初めて手に取ったとき、胸の奥がざわつくような感覚に捕まれました。家族や仕事が思うようにいかず、気持ちが落ち着かない時期だったからこそ、日本ホラー特有の“名もなき恐怖”が深く刺さったのだと思います。
『ぼぎわんが、来る』は何を描いた物語なのか?
『ぼぎわんが、来る』のあらすじは?(※ネタバレなし)
主人公は田原秀樹。順調に見える家庭の周囲で“ぼぎわん”という怪異めいた存在の影が忍び寄り、不可解な現象が続きます。言葉だけが先に現れ、正体が見えない。それこそが本作の恐怖の核です。「ぼぎわんが、来るのあらすじは?」と検索する読者が多い理由も、この“姿の見えなさ”にあります。
登場人物としては、秀樹の妻・香奈、そして怪異専門の比嘉真琴・比嘉琴子(比嘉姉妹シリーズの中心人物)らが重要な役割を果たします。この複数視点構成が怪異ミステリーとしての深みを作り、読者を強く引き込みます。
『ぼぎわんが、来る』はなぜ怖いと言われるのか?
“怖さ”の本質は怪異そのものではなく、人間の弱さや関係性の歪みに寄り添うように迫ってくる点です。香奈の視点に移る章では、夫婦の内側に潜む問題が徐々に浮き彫りになり、それが恐怖に拍車をかけます。
比嘉真琴が田原家を初めて訪れるシーンで、「『これは普通の怪異じゃないね』」と告げる一言は、作品のトーンを決定づける緊張感を生み出しています。
人間ドラマとしての深さ:恐怖はどこから生まれるのか?
心理描写の鋭さは?
香奈の独白として
「私は、見えないものから逃げ続けていたのかもしれない」
という言葉があります。この一文は「怪異が怖い」のではなく、「自分の弱さから目をそらすことの方が怖い」というテーマを象徴しています。
秀樹の友人が漏らす「『お前の後ろに誰かいる気がする』」という軽い一言でさえ、読み手の想像力を一気に刺激し、“怖い話”としての強度を高めています。
私自身が得た気づき
この物語を読みながら、私は以前仕事で大きな不安を抱えていた時期を思い出しました。原因の見えない焦りほど、判断力を奪うものはありません。
『ぼぎわんが、来る』は、人が「名前のない不安」にどう向き合うべきかを静かに問いかける作品でもあります。読後、「不安に名前をつけることが、再スタートの第一歩だ」と気づかされました。
日本ホラーとしての魅力:シリーズ・映画との関連も
澤村伊智はどんな作家か?
澤村伊智はデビュー作『ぼぎわんが、来る』で日本ホラー新人賞を受賞。その後『ずうのめ人形』『ししりばの家』『予言の島』など、怪異と人間心理を組み合わせた作品を継続的に発表しています。
比嘉姉妹シリーズの読む順番は?
本作はシリーズの起点であり、比嘉真琴・比嘉琴子が活躍する世界の入口です。
映画版『来る』との違い
映画版はキャストや描写が大胆にアレンジされており、原作の“名もなき恐怖”とはまた別の迫力を持っています。原作→映画の順で触れると、作品の解釈が広がります。

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